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最高裁判所第一小法廷 昭和60年(行ツ)133号 判決 1992年10月29日

上告人

井上常久

大澤喜八郎

浪下繁春

廣野房一

矢野濵吉

戎重和

鎌田健一郎

佐伯勲

佐伯森武

谷本功

得能亀雄

道休基文

西村交平

西村洲平

兵頭愼平

武内榮樂

右一六名訴訟代理人弁護士

新谷勇人

井門忠士

石川寛俊

井上英昭

浦功

岡田義雄

奥津亘

菊池逸雄

熊野勝之

崎間昌一郎

佐々木斉

里見和夫

柴田信夫

菅充行

田原睦夫

田中泰雄

仲田隆明

中元視暉輔

畑村悦雄

平松耕吉

藤原周

藤原充子

分銅一臣

本田陸士

三野秀富

水島昇

藤田一良

被上告人

通商産業大臣

渡部恒三

右指定代理人

佐治輝好

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人新谷勇人、同井門忠士、同石川寛俊、同井上英昭、同浦功、同岡田義雄、同奥津亘、同菊池逸雄、同熊野勝之、同崎間昌一郎、同佐々木斉、同里見和夫、同柴田信夫、同菅充行、同田原睦夫、同田中泰雄、同仲田隆明、同中元視暉輔、同畑村悦雄、同平松耕吉、同藤原周、同藤原充子、同分銅一臣、同本田陸士、同三野秀富、同水島昇、同藤田一良の上告理由のはじめに、第一章、第二章及び第五章の第一について

所論の点に関する原審の認定判断及び措置は、原判決挙示の証拠関係及び記録に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。

所論は、憲法三一条は、電力会社等が設置する原子力発電所の設地規制手続を定める法律には、(1) 原子炉設置予定地の周辺住民の設置規制手続への参加、(2) 設置の申請書、付属書類及び審査資料すべての公開、(3) 設置基準(安全基準)の明白かつ定量化の三点を定めることを要求していると解すべきところ、これらの点についての定めを欠く原子力基本法(昭和五三年法律第八六号による改正前のもの。以下「基本法」という。)核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和五二年法律第八〇号による改正前のもの。以下「規制法」という。)の設置規制手続に関する規定は、憲法三一条に違反するものであり、また、上告人らに告知、聴聞の機会を与えずにした本件原子炉設置許可処分は同条に違反する、と主張する。

行政手続は、憲法三一条による保障が及ぶと解すべき場合であっても、刑事手続とその性質においておのずから差異があり、また、行政目的に応じて多種多様であるから、常に必ず行政処分の相手方等に事前の告知、弁解、防御の機会を与えるなどの一定の手続を設けることを必要とするものではないと解するのが相当である。そして、原子炉設置許可の申請が規制法二四条一項各号所定の基準に適合するかどうかの審査は、原子力の開発及び利用の計画との適合性や原子炉施設の安全性に関する極めて高度な専門技術的判断を伴うものであり、同条二項は、右許可をする場合に、各専門分野の学識経験者等を擁する原子力委員会の意見を聴き、これを尊重してしなければならないと定めている。このことにかんがみると、所論のように、基本法及び規制法が、原子炉設置予定地の周辺住民を原子炉設置許可手続に参加させる手続及び設置の申請書等の公開に関する定めを置いていないからといって、その一事をもって、右各法が憲法三一条の法意に反するものとはいえず、周辺住民である上告人らが、本件原子炉設置許可処分に際し、告知、聴聞の機会を与えられなかったことが、同条の法意に反するものともいえない。以上のことは、最高裁昭和六一年(行ツ)第一一号平成四年七月一日大法廷判決(民集四六巻五号四三七頁)の趣旨に徴して明らかである。

また、規制法二四条一項四号は、原子炉設置許可の基準として、原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質(使用済燃料を含む。)、核燃料物質によって汚染された物(原子核分裂生成物を含む。)又は原子炉による災害の防止上支障がないものであることと規定しているが、それは、原子炉施設の安全性に関する審査が、後述のとおり、多方面にわたる極めて高度な最新の科学的、専門技術的知見に基づいてされる必要がある上、科学技術は不断に進歩、発展しているのであるから、原子炉施設の安全性に関する基準を具体的かつ詳細に法律で定めることは困難であるのみならず、最新の科学技術水準への即応性の観点からみて適当ではないとの見解に基づくものと考えられ、右見解は十分首肯し得るところである。しかも、設置許可に当たっては、申請に係る原子炉施設の位置、構造及び設備の安全性に関する審査の適正を確保するため、各専門分野の学識経験者等を擁する原子力委員会の科学的、専門技術的知見に基づく意見を聴き、これを尊重するという、慎重な手続が定められていることを考慮すると、右規定が不合理、不明確であるとの非難は当たらないというべきである。したがって、右規定が不合理、不明確であることを前提とする所論憲法三一条違反の主張は、その前提を欠く。論旨は、採用することができない。

次に、所論は、本件原子炉設置許可処分は、法律又はその委任に基づいて定められたものではない原子炉施設の安全性に関する基準を用いた安全審査に依拠してされたものであるから、憲法四一条、七三条一号、国家行政組織法一二条、一三条に違反するともいうが、本件原子炉施設の安全審査は、その合理性を十分首肯し得る規制法二四条一項四号の規定に基づいてされたものであるから、それが法律の規定に基づかないものであることを前提とする所論は、その前提を欠くものというべきである。論旨は、採用することができない。

所論のその余の違憲主張は、原審の認定ないし事実を前提とするものにすぎない。また、所論引用の各判例は、いずれも事案を異にし、本件に適切でない。論旨は、いずれも採用することができない。

同第三章について

原子炉を設置しようとする者は、内閣総理大臣の許可を受けなければならないものとされており(規制法二三条一項)、内閣総理大臣は、原子炉設置の許可申請が、同法二四条一項各号に適合していると認めるときでなければ許可してはならず(同条一項)、右許可をする場合においては、右各号に規定する基準の適用については、あらかじめ核燃料物質及び原子炉に関する規制に関すること等を所掌事務とする原子力委員会の意見を聴き、これを尊重してしなければならないものとされており(同条二項。なお、昭和五三年法律第八六号による改正により、実用発電用原子炉の設置の許可は被上告人の権限とされ、同法附則三条により、右改正前の規制法の規定に基づき内閣総理大臣がした右原子炉の設置の許可は、被上告人がしたものとみなされることとなった。)、原子力委員会には、学識経験者及び関係行政機関の職員で組織される原子炉安全専門審査会が置かれ、原子炉の安全性に関する事項の調査審議に当たるものとされている(原子力委員会設置法(昭和五三年法律第八六号による改正前のもの)一四条の二、三)。

また、規制法二四条一項三号は、原子炉を設置しようとする者が原子炉を設置するために必要な技術的能力及びその運転を適確に遂行するに足りる技術的能力を有するか否かにつき、同項四号は、当該申請に係る原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質(使用済燃料を含む。)、核燃料物質によって汚染された物(原子核分裂生成物を含む。)又は原子炉による災害の防止上支障がないものであるか否かにつき、審査を行うべきものと定めている。原子炉設置許可の基準として、右のように定められた趣旨は、原子炉が原子核分裂の過程において高エネルギーを放出する核燃料物質を燃料として使用する装置であり、その稼働により、内部に多量の人体に有害な放射性物質を発生させるものであって、原子炉を設置しようとする者が原子炉の設置、運転につき所定の技術的能力を欠くとき、又は原子炉施設の安全性が確保されないときは、当該原子炉施設の従業員やその周辺住民等の生命、身体に重大な危害を及ぼし、周辺の環境を放射能によって汚染するなど、深刻な災害を引き起こすおそれがあることにかんがみ、右災害が万が一にも起こらないようにするため、原子炉設置許可の段階で、原子炉を設置しようとする者の右技術的能力並びに申請に係る原子炉施設の位置、構造及び設備の安全性につき、科学的、専門技術的見地から、十分な審査を行わせることにあるものと解される。

右の技術的能力を含めた原子炉施設の安全性に関する審査は、当該原子炉施設そのものの工学的安全性、平常運転時における従業員、周辺住民及び周辺環境への放射線の影響、事故時における周辺地域への影響等を、原子炉設置予定地の地形、地質、気象等の自然的条件、人口分布等の社会的条件及び当該原子炉設置者の右技術的能力との関連において、多角的、総合的見地から検討するものであり、しかも、右審査の対象には、将来の予測に係る事項も含まれているのであって、右審査においては、原子力工学はもとより、多方面にわたる極めて高度な最新の科学的、専門技術的知見に基づく総合的判断が必要とされるものであることが明らかである。そして、規制法二四条二項が、内閣総理大臣は、原子炉設置の許可をする場合においては、同条一項三号(技術的能力に係る部分に限る。)及び四号所定の基準の適用について、あらかじめ原子力委員会の意見を聴き、これを尊重してしなければならないと定めているのは、右のような原子炉施設の安全性に関する審査の特質を考慮し、右各号所定の基準の適合性については、各専門分野の学識経験者等を擁する原子力委員会の科学的、専門技術的知見に基づく意見を尊重して行う内閣総理大臣の合理的な判断にゆだねる趣旨と解するのが相当である。

以上の点を考慮すると、右の原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、右調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは当該原子炉施設が右の具体的審査基準に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁の右判断に不合理な点があるものとして、右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法と解すべきである。

原子炉設置許可処分についての右取消訴訟においては、右処分が前記のような性質を有することにかんがみると、被告行政庁がした右判断に不合理な点があることの主張、立証責任は、本来、原告が負うべきものと解されるが、当該原子炉施設の安全審査に関する資料をすべて被告行政庁の側が保持していることなどの点を考慮すると、被告行政庁の側において、まず、その依拠した前記の具体的審査基準並びに調査審議及び判断の過程等、被告行政庁の判断に不合理な点のないことを相当の根拠、資料に基づき主張、立証する必要があり、被告行政庁が右主張、立証を尽くさない場合には、被告行政庁がした右判断に不合理な点があることが事実上推認されるものというべきである。

以上と同旨の見地に立って、本件原子炉設置許可処分の適否を判断した原判決は正当であり、原判決に所論の違法はない。論旨は、違憲をもいうが、その実質は、単なる法令違背をいうものにすぎず、原判決に法令違背のないことは右に述べたとおりである。論旨は、いずれも採用することができない。

同第四章について

規制法は、その規制の対象を、製錬事業(第二章)、加工事業(第三章)、原子炉の設置、運転等(第四章)、再処理事業(第五章)、核燃料物質等の使用等(第六章)、国際規制物質の使用(第六章の二)に分け、それぞれにつき内閣総理大臣の指定、許可、認可等を受けるべきものとしているのであるから、第四章所定の原子炉の設置、運転等に対る規制は、専ら原子炉設置の許可等の同章所定の事項をその対象とするものであって、他の各章において規制することとされている事項までをその対象とするものではないことは明らかである。

また、規制法第四章の原子炉の設置、運転等に関する規制の内容をみると、原子炉の設置の許可、変更の許可(二三条ないし二六条の二)のほかに、設計及び工事方法の認可(二七条)、使用前検査(二八条)、保安規定の認可(三七条)、定期検査(二九条)、原子炉の解体の届出(三八条)等の各規制が定められており、これらの規制が段階的に行われることとされている(なお、本件原子炉のような発電用原子炉施設について、規制法七三条は二七条ないし二九条の適用を除外するものとしているが、これは、電気事業法(昭和五八年法律第八三号による改正前のもの)四一条、四三条及び四七条により、その工事計画の認可、使用前検査及び定期検査を受けなければならないこととされているからである。)。したがって、原子炉の設置の許可の段階においては、専ら当該原子炉の基本設計のみが規制の対象となるのであって、後続の設計及び工事方法の認可(二七条)の段階では規制の対象とされる当該原子炉の具体的な詳細設計及び工事の方法は規制の対象とはならないものと解すべきである。

右にみた規制法の構造に照らすと、原子炉設置の許可の段階の安全審査においては、当該原子炉施設の安全性にかかわる事項のすべてをその対象とするものではなく、その基本設計の安全性にかかわる事項のみをその対象とするものと解するのが相当である。もとより、原子炉設置の許可は、原子炉の設置、運転に関する一連の規制の最初に行われる重要な行政処分であり、原子炉設置許可の段階で当該原子炉の基本設計における安全性が確認されることは、後続の各規制の当然の前提となるものであるから、原子炉設置許可の段階における安全審査の対象の範囲を右のように解したからといって、右安全審査の意義、重要性を何ら減ずるものではない。右と同旨の見解に立って、固体廃棄物の最終処分の方法、使用済燃料の再処理及び輸送の方法並びに温排水の熱による影響等にかかわる事項を、原子炉設置許可の段階の安全審査の対象にはならないものとした原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、いずれも採用することができない。

同第五章の第二について

原審の適法に確定した事実関係の下において、原子力委員会に置かれた原子炉安全専門委員会及び専門部会における原子炉施設の安全性に関する調査審議の手続に、内閣総理大臣が原子炉の設置の許可をする場合には、原子力委員会の意見を聴き、これを尊重してしなければならないとした規制法二四条二項の規定の趣旨に反すると認められるような瑕疵があるとはいえず、右手続が違法でないとした原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、いずれも採用することができない。

同第五章の第三について

原審の適法に確定した事実関係の下において、所論のスリーマイルアイランド原子力発電所二号炉の事故及びその原因が、本件原子炉施設について行われた安全審査の合理性に影響を及ぼすものではないとした原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

同第五章の第四について

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし、首肯するに足り、右事実及び原審が適法に確定したその余の事実関係の下において、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会が本件原子炉施設の安全性について行った調査審議及び判断に不合理な点があるとはいえず、これを基にしてされた本件原子炉設置許可処分を適法であるとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、違憲をもいうが、その実質は、単なる法令違背をいうものにすぎない。論旨は、いずれも採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官小野幹夫 裁判官大掘誠一 裁判官橋元四郎平 裁判官味村治 裁判官三好達)

上告代理人新谷勇人、同井門志士、同石川寛俊、同井上英昭、同浦功、同岡田義雄、同奥津亘、同菊池逸雄、同熊野勝之、同崎間昌一郎、同佐々木斉、同里見和夫、同柴田信夫、同菅充行、同田原睦夫、同田中泰雄、同仲田隆明、同中元視暉輔、同畑村悦雄、同平松耕吉、同藤原周、同藤原充子、同分銅一臣、同本田陸士、同三野秀富、同水島昇、同藤田一良の上告理由

目次

はじめに

第一章 原発の危険性と現行原発規制手続

第一 原発の危険性

一 はじめに

二 原子力発電のしくみ

三 原発の危険性の根源

四 プルトニウムの恐怖

五 平常運転時に放出される放射能の恐ろしさ

六 伊方原子力発電所の技術的欠陥とその危険性

1 はじめに

2 炉心燃料の脆弱性とその危険

3 圧力容器と一次系配管の欠陥

4 破滅的大事故の恐怖と事故評価の欺瞞性

5 非常用炉心冷却装置(ECCS)は有効に作動しない

6 蒸気発生器細管の破損とその危険

7 原発の温排水による環境破壊の重大性

8 廃棄物および使用済燃料・廃炉の処理・処分の方法のない原発の建設は許されるべきではない

9 伊方原発の立地選定の誤りとその危険性

七 おわりに

第二 現行原発設置規制手続

一 現行原発設置規制手続の実際

二 現行原発設置規制手続の問題点

1 住民参加の否定

2 資料の非公開

3 安全基準に問題

4 審査庁の不公正

第二章 現行原発設置規制手続法の違憲

第一 原子力基本法、原子炉規制法の違憲

一 原発と原子力損害賠償法

二 商業用原発の存在と住民の危険

三 原子炉規制法と逐条解説書

四 原子力基本法、原子炉規制法は憲法一三条、一四条、二五条、二九条違反

五 原子力基本法、原子炉規制法は憲法三一条違反

1 憲法三一条から要請される原発設置規制手続

2 現行規制手続法は違憲

第二 「基準」の違憲、違法

一 許可「基準」の意味について

1 危険物施設設置許可の憲法上の意味

2 許可「基準」の憲法上の意味

3 安全審査および「審査基準」の意味

4 本件安全審査に用いられた「基準」

5 本件の「基準」をめぐる争点

6 争点に対する上告人の主張

二 告示が憲法四一条等に違反することの判断遺脱

三 告示が憲法四一条等に違反することの判断の理由不備、判例違反の違法

四 「規則」は「規制法」の「執行命令」であるから「告示」に法的根拠ありとする判断の法令解釈の誤り

五 「告示」が「法律の委任」を欠いても違法ではないとする判断には「災害対策基本法施行令一条」、「原子力防災計画」に関する判断の遺脱の違法がある。

六 「告示」が「法律の委任」を欠いても違法でないとする判断には「TMI事故と同事故による退避」に関する判断の遺脱、審理不尽の違法がある

七 書証の記載どおりの事実を認むべきである場合に、書証を排斥した理由不備、判例違反の違法

八 立地審査指針は法規範性をもたないとする判断は憲法四一条違反

九 原子炉の安全性に関する判断は科学的「専門技術的知見に基づく」ので、規制法の「抽象的」規定は「具体的基準を下位の法令で定めることを是認している」から「委任」の規定を欠いても「告示」は違法でないとする判断は憲法四一条、国家行政組織法一三条に違反し、理由不備の違法がある

一〇 原判決には初歩的な論理法則違反があり、理由不備の違法がある

第三章 司法審査の範囲に関する原判決の誤り

第一 裁量処分論の誤り

一 原判決の裁量処分論

二 原子炉設置許可処分は裁量処分ではない

1 処分の性質と非裁量処分性

2 学説との対比

3 「覊束裁量」と「自由裁量」の相対化と原子炉設置許可処分

三 原判決の誤り

第二 司法審査のあり方についての誤り

第三 立証責任論の誤り

一 原判決の立証責任論

二 原判決の誤り

第四 結論

第四章 本件安全審査における審査欠如の違法性

第一 固体廃棄物の最終処分

一 原判決の判示

二 固体廃棄物に関する現行法の規制

三 「廃棄」の概念について

1 「貯蔵」「保管」の概念

2 「廃棄」の概念

3 原判決の誤り

4 昭和五三年の改正法について

5 結語

四 固体廃棄物の「最終処分」の不可欠性と「貯蔵」「保管」の危険性

1 固体廃棄物の「最終処分」の不可欠性

2 固体廃棄物の「貯蔵」「保管」の危険性

第二 使用済燃料およびその再処理

一 原判決の判示

二 使用済燃料・再処理・核燃料サイクル

1 使用済燃料

2 再処理

3 核燃料サイクル

三 使用済燃料に関する現行法の規制とその正しい解釈

四 原判決の誤り

五 使用済燃料の再処理について

1 再処理の現状

2 再処理の危険性

3 使用済燃料の「貯蔵」「保管」の危険性

第三 温排水

一 温排水とは

二 温排水についての審査義務

三 結論

第五章 本件許可処分および原判決の違憲・違法

第一 本件許可処分および原判決の違憲

一 本件許可処分は憲法違反

二 原判決は憲法三一条の解釈を誤った

第二 本件審査手続における法令違背

一 原子炉設置許可手続における厳格な手続的適正さ・公正さの要求

二 本件審査手続のずさんさと、原判決によるその追認

三 手続の個別的瑕疵の不可分性、一体性及びその点に関する原判決の判断遺脱

四 手続の適法性の主張立証責任についての原判決の判断の法令違背、理由不備、理由齟齬

五 審査手続の実体について審理不尽

六 審査手続の瑕疵を容認した原判決には、審査手続に関する関係諸法令の解釈適用を誤った法令違背が存する

第三 TMI事故は本件安全審査に影響を及ぼさないとした原判決の違法

一 本件訴訟とTMI事故

二 原判決とその違法性

三 TMI事故の主たる原因は「運転操作の誤り」ではない

四 TMI事故の真の原因は本件安全審査にも共通した安全評価上の欠陥である

五 安全審査は「運転操作の誤り」を除外してはならない

六 意味不明の判示内容

七 結論

第四 伊方原発の危険性についての原判決の誤り

一 平常時被曝

1 許容被曝線量概念を「許容」した原判決の違法及び違憲

(一) 放射線障害と原子炉規制法二四条一項四号

(二) 四号解釈における原判決の誤り

(三) 許容被曝線量概念批判、その違憲性

(四) 法令解釈の誤り、四号と「電力の供給その他公共の必要」

(1) 原子炉規制法一条と「電力の供給その他公共の必要」

(2) 原子力基本法の精神と「電力の供給その他公共の必要」

(3) 放射線障害防止の技術的基準に関する法律と「電力の供給その他公共の必要」

(4) 法令解釈の誤り

(五) 結語

2 本件被曝線量の危険

(一) 原判決の法令解釈の誤り

(1) 立証責任違背

(2) 経験則違背

(二) しきい値

(三) 突然変異の倍加線量及びBEIR報告について

(四) 結語

3 平常運転時における放射性物質管理

(一) 被曝評価の欠落及び過小評価

(二) ベータ線の全身被曝線量

(三) 気体廃棄物について

(四) 液体廃棄物について

(五) 結語

二 作業者被曝

1 原判決の判示

2 原判決の誤り

(一) 作業者被曝の危険性

(二) 原判決の誤り

三 燃料棒

1 ホットチャンネル係数

2 DNB比

3 内面酸化割合

4 燃料棒曲り事故と制御棒の操作不可能

5 相変態による燃料被覆管の破断

6 LOCA時燃料被覆管の酸化割合

7 被覆材最高温度

8 LOCA時燃料被覆管の破裂割合とLOCA時荷重に対する燃料被覆管の機械強度

9 美浜一号炉の事故隠しについて

四 一次冷却材圧力バウンダリ

1 原判決の法令違背

2 安全設計審査指針における基準

3 圧力容器および一次冷却系配管について

(一) 中性子照射による圧力容器の脆化

(1) 圧力容器脆化の不可避性と脆性破壊の危険性

(2) 脆化状態把握の困難性―監視用試験片検査法の欠陥

(二) 応力腐食割れおよび疲労き裂

(1) 一次冷却系配管損傷事故

(2) 応力腐食割れ

(3) 疲労き裂

(4) 漏洩検知方法の欠如

(三) 結論

4 蒸気発生器細管について

(一) 蒸気発生器細管事故の重大性と現実性

(1) 蒸気発生器の機能と構造

(2) 蒸気発生器細管事故の重大性

(3) 多発する蒸気発生器細管事故

(二) ずさんな安全審査

(三) 蒸気発生器細管の非健全性

(1) 蒸気発生器細管損傷の実態に基づかない試験結果

(2) 水処理方法の変更の欺瞞性

(三) 検査方法の無効性

(四) 結論

5 まとめ

五 ECCS

1 二次給水系の故障によるLOCA(原判決の経験則違反)

2 安全設計審査指針違反(原判決の法令適用の誤り)

3 本件原子炉ECCSの基準不適合性(原判決の判断遺脱)

六 地震と地盤

1 序

2 地震および耐震設計について

(一) 地震歴調査における巨大地震の無視

(1) 問題の所在

(2) 原判決の記載

(3) 原判決の誤り

(4) 上告理由

(二) 想定地震のマグニチュードの過小評価

(1) 問題の所在

(2) 原判決とそれが引用する第一審の判決

(3) 原判決の誤り

(4) 上告理由

(三) 加速度評価の誤り

(1) 問題の所在

(2) 原判決が引用する一審判決

(3) 原判決の誤り

(4) 上告理由

3 地盤について―岩盤良好度の評価における論理矛盾

(一) 問題の所在

(二) 原判決とそれが引用する一審判決

(三) 原判決の誤り

(四) 上告理由

4 中央構造線について

(一) 問題の所在

(二) 原判決の記載

(三) 原判決の誤り

(四) 上告理由

5 結論

七 災害評価

1 はじめに

2 災害評価の基準

3 恣意的な災害評価

八 四国電力の技術的能力の欠陥

1 原判決の判断

2 原判決の原子炉規制法二四条一項三号解釈の誤り

3 技術時能力の欠如は運転員の養成の実態によっても明らかである

4 TMI事故でも明らかとなった技術的能力の欠如

5 結論

おわりに

はじめにないしおわりに<省略>

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